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マンションの排水管清掃は、法的に定められているわけではないので、そこまで重要視していない管理者の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、排水管の詰まりや悪臭などのトラブルを防ぐためにも、マンションの排水管清掃は大事です。
排水管清掃を怠って排水管が詰まると、下水が逆流して水漏れを起こす可能性もあります。
そこで今回は、マンションの排水管清掃の必要性や、排水管の基礎知識について解説していきます。
マンションの排水管清掃が必要な理由
マンションの排水管は3種類あります。
1つ目は洗面所や浴室、台所や洗濯機からの排水が流れる雑排水管、2つ目はトイレの水が流れる汚水菅、そして3つ目は屋上やベランダに溜まった雨水を流す雨水(うすい)管です。
口径が太い汚水菅や雨水管は、清掃が必要となることは滅多にありませんが、雑排水管は年に1回は排水管清掃をした方が望ましいです。
雑排水管には台所からの油や、浴室からの髪の毛や皮脂など様々なものが流れ、これらが固まってしまうと排水管を詰まらせます。
排水管の詰まりや劣化、悪臭を未然に防ぎたいのであれば、定期的なマンションの排水管清掃が必要です。
排水管清掃に欠かせない高圧洗浄とは?
高圧洗浄という言葉自体は、よく耳にしますが、実際はどのような仕組みになっているのでしょうか。
高圧洗浄機は、水は圧縮されないという原理を利用し、ポンプで加圧した水を、特殊ノズルで後方に逆噴射させることによって、勢いの強い水が出る仕組みになっています。
この噴射される水は、水道水の約40倍の圧力があるため、こびりついた汚れも削ぎ落とすことができるのです。
家庭用の高圧洗浄機はモーターを動力とする一方、業務用のものはエンジンを動力としています。
排水管の構造を理解しよう
マンションの排水管清掃をしてもらう前に、排水管の構造について理解しておくとスムーズに対応できるようになります。
マンションの排水管の構造は大きく分けると、合流式と分流式の2種類があります。 それぞれの違いを確認していきましょう。
合流式排水管
先ほどもご説明しましたが、排水管には雑排水管と汚水菅、そして雨水管があります。
雑排水管は洗面所、浴室、台所、洗濯機などからの排水が流れる管で、汚水菅はトイレの水が流れる管、雨水管は雨水が流れる管でしたね。
これらの雑排水、汚水、雨水の排水方法は、マンションの構造によって違いがあるのです。
排水管が合流式になっているマンションは、雑排水、汚水、雨水をまとめて、1つの排水立て管に流す構造になっています。
比較的に単純な構造なので、建設費を抑えられますが、排水管の容量を超える大雨が降った時に、他の排水が流れにくくなることがあるので注意が必要です。
分流式排水管
一方、マンションの雑排水や汚水と雨水を、別々の管で排水する構造になっているものを、分流式と呼びます。
この場合、雑排水と汚水は水再生センターに運ばれ、雨水は川や海へ流されるので、下水処理施設の容量を小さくすることができるのです。
合流式が古くから取り入れられてきた構造であることに対して、分流式は比較的新しい建物に取り入れられています。
マンションの排水管清掃の流れ
マンションの排水管清掃は、どのような手順で行われるのでしょうか。
マンションの排水管清掃には、高圧洗浄ポンプが搭載された特殊車両が使用されます。
この洗浄ポンプから伸びた特殊なワイヤーを、各部屋の台所や浴室、洗濯機置き場の排水口から入れて、高圧力の水で管内の汚れを落としていくのです。
この時、下の階から洗浄することによって、清掃中に排水管の下部が詰まり、上階の部屋の排水管から汚水が逆流することを防ぎます。
一番初めに屋外のマンホール、横引き管、縦管を清掃し、その後、1階から順に上階へ上がって作業してきます。
マンションの排水管清掃の注意点
マンションの排水管清掃を業者に依頼する前に、管理者が把握しておいたことが良いことがあります。
マンションの排水管清掃における注意点について、ご説明していきます。
共有部分だけ清掃しても意味がない
マンションの排水管は、共有部分だけ清掃してもあまり意味がありません。
なぜなら、各部屋の専有部分である排水管は、共有部分の横引き管や縦管を介して繋がっているからです。
共有部分の排水管を掃除していても、ある部屋の排水管の汚れが共有部分に流れ、詰まってしまうというケースもあります。
マンションの排水管清掃は、部分的に行うのではなく、一度にできる限り多くの部屋で行うようにしましょう。
排水管清掃はどのくらい頻度でやるべき?
排水管清掃を定期的に行っているマンションがほとんどですが、その頻度はマンションによって異なるようです。
理想は1年に1回、少なくとも2年に1回は、マンション全体の排水管清掃を依頼しましょう。
排水管清掃時の住民の不在を防ぐために
意外と大変なのが、マンション全体の排水管清掃の際の住民の不在を防ぐこと。
先ほどもお話ししたように、同日にできるだけ多くの部屋の排水管清掃を完了しないと、効果が薄れてしまいます。
そのためには、必ず1か月前には、掲示板にお知らせの紙を貼り出し、各部屋にも個別に協力をお願いする文書を投函して、住民に周知することが大切です。
また、排水管を何年も掃除していない部屋がないか、事前に確認しておきましょう。
管理会社や管理組合役員の方に直接相談する、文書を送るといった工夫をすると、住民の不在を防げる可能性が高くなります。
まとめ
マンションの排水管清掃は、定期的に且つ効果的に実施しないと、排水管の詰まりや悪臭、逆流といったトラブルを引き起こすかもしれません。
排水管のトラブルから被害が拡大し、莫大な修繕費がかかってしまった…というようなことを防ぐために、年に1回は排水管清掃を業者に依頼しましょう。
マンションの見えない所までしっかり管理すれば、住民が長く住み続けてくれる可能性が高くなります。
定期的なマンションの排水管清掃で、住民の居心地が良い住まいを目指しましょう。