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貯水槽を用いた給水方法にはいくつか種類があります。
最近では、貯水槽を必要としない給水方法を採用している建物が主流になり、建物の屋上に貯水槽が見られない場合も多いです。
マンションの給水方式は2種類ある
先ほどもお話ししたように、全てのマンションに貯水槽が設置されているわけではありません。
マンションの給水方法には、貯水槽を用いる方式と、貯水槽を用いない方式があります。
それぞれの方式について解説していきます。
貯水槽方式
貯水槽を用いた給水方法は、短時間に多くの水を使用する建物や、水を供給するための水圧が足りない高い建物に採用されます。
貯水槽を採用することのメリットは、高層の建物にも安定して給水できることや、災害時や断水が起こった場合でも、建物内で使える水を確保できることです。
そのため、病院や学校、ホテルなどに常に水が必要になる建物に適しています。
しかし、貯水槽の衛生管理を怠ると水質悪化の恐れがある点や、設置や維持管理費などの費用、設置スペースが必要になる点はデメリットと言えるでしょう。
直結給水方式
最近では、貯水槽を設置しない給水方法が採用されている建物が増えてきています。
それらは、直結給水方式と呼ばれ、各部屋の蛇口をひねると、水道本管から供給される水が直接流れるという仕組みになっています。
一般的に戸建て住宅では、この直結給水方式が用いられています。
貯水槽を用いた給水の仕組み
貯水槽を用いたマンションの給水方式には大きく分けて3つのタイプが存在し、それぞれ給水の仕組みが少しずつ異なります。
3つの仕組みの違いについて、詳しく見ていきましょう。
タイプ1:加圧ポンプ、圧力タンク式
比較的階数の少ない低めの建物で採用されることの多いタイプです。
建物の敷地内の地上または地下に受水槽(貯水タンク)が設置されています。
その受水槽に水道本管からの水が溜まるようになっており、受水槽内の水を加圧ポンプや圧力タンクによって、建物の各階の部屋に水を供給する仕組みです。
タイプ2:受水槽高置水槽式
中高層の建物で採用されていることが多いタイプです。
建物の敷地内の地上または地下に設置された受水槽(貯水タンク)に加え、建物の屋上に設置された高置水槽の2種類の貯水タンクを使って水を供給します。
受水槽に溜まった水はポンプで屋上の高置水槽へと送られ、高置水槽からは重力を利用することで、各部屋に給水する仕組みになっています。
タイプ3:増圧直結高架水槽方式
増圧直結高架水槽方式では、建物の屋上に設置される高置水槽のみを必要とします。
水道本管から送られてきた水は、そのままポンプの力によって高置水槽へ送られ、貯水されます。
屋上の高置水槽に溜まった水は、受水槽高置水槽式と同様に、重力によって各階に給水される仕組みです。
直結給水方式の中の?仕組みの違い
水道本管からの水を直接、各部屋まで供給する直結給水方式ですが、その中でも、建物の高さによって2つの方式に分けられます。
2種類の方式の違いを見ていきましょう。
直圧直結給水方式
直圧直結給水方式は、配水管内の水圧を利用することで、建物の各部屋の器具に直接水を供給する仕組みです。
一軒家や3階〜4階建ての建物で採用することができます。
排水管内の水圧が低い場合は上手く給水することができないため、条例によって建物の上限階数が制限されています。
増圧直結給水方式
増圧直結給水方式は、5階以上の中高層の建物に採用されており、現在では主流になっている方式と言えます。
配水管内の水圧を利用する点は直圧直結給水方式と同じですが、この方式では、さらに増圧ポンプの力で水圧を高めて給水します。
受水槽が必要ないので、設置に伴うスペースの問題や保守点検について考える必要がありません。
しかし、水道の工事や震災などで断水した際には、水が使えなくなる可能性があります。
まとめ
今回は貯水槽の仕組みや、貯水槽を必要としない給水方法との違いについてお伝えしました。
一口に貯水槽と言っても、その仕組みにはいくつか種類があることをお分かりいただけたでしょうか。
貯水槽が設置されている建物で必ず必要となるのが、貯水槽のメンテナンスです。
マンションの住民の安全を守るためにも、清掃や点検は定期的に依頼するようにしましょう。