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皆さんは排水枡(はいすいます)というものをご存知でしょうか? 一般的な配管設備には欠かせないものであり、一般家庭の配管にも設備されています。
排水枡には様々な種類があり、それによって役割や場所も違います。メンテナンスをしようと思っても構造や場所が分からなければできないので、今回はそんな排水枡の役割や場所について詳しく解説していきます。
排水枡とは?
排水枡はトイレや台所、お風呂等の排水に含まれる生ゴミや排泄物、油分、排水管を通る雨水に含まれる泥などを取り除くためのものです。家庭内の生活排水や雨水などは一度私有地内で集められた後、公共の排水に送られますが、その前段階でできるだけゴミ等を排除しておくのです。
排水管が全て密閉されていると、つまり等を引き起こした際に処置を行うのがかなり困難なので、詰まったゴミを掃除したり、私有地内の排水管の点検をしやすくするために、排水枡が設けられているのです。
排水枡の構造
ここでは排水枡の構造を、どのようにして排水からゴミ等を分離させているのかについても交えながら説明していきます。
まず排水が枡に流れ込んで一度溜まります。
時間が経つと生ゴミや排泄物等は下の方に、油成分は上の方に分離します。排水が十分な水量になると排水管に入り込み流れていく、というような構造です。
基本的に排水枡から次の排水管までは水圧で流れ込むようになっています。
そのため、一度に大量のゴミを流したり、何年も掃除せず放置していると、ゴミが排水管の入り口に詰まって、トイレやお風呂などに排水が逆流してきてしまい大惨事に陥ってしまいます。
排水枡の素材
現在で主に普及しているのは、コンクリート製のものと塩ビ製のものです。
以前はコンクリート製のものが主流でしたが、十数年で寿命が来てしまい、それ以上使用していると劣化が進みひび割れなどを起こしてしまいます。
ひび割れでできた隙間から木の根などが侵食してさらに大きな穴になって水漏れしてしまうこともあります。
そのため、多くの家庭ではコンクリートから塩ビ製のものに取り替えが進んでおり、今では耐久性の高い塩ビ製が主流です。
排水枡とマンホールの違い
よく排水枡はマンホールと同じものであると思われがちで、確か役割は似通っていますが、違いがあります。
その違いとは、「人が入れるかどうか」です。
マンホールも排水枡同様排水管の点検ができるように設置されていますが、私有地内の配管と公共の水路とでは規模が違うため、人が入れる大きさにする必要があるのです。
「マンホール」という名前も、人が入れるよう設計されてることからついた名前であり、逆に排水枡のような枡のことを「ハンドホール」と呼ぶこともあります。
また、排水枡は生活排水が公共の排水管に流れる前にゴミを取り除くためのものなので私有地内にありますが、マンホールは当然公道にあるので、設置されている場所にも違いがあります。
排水枡ってどこにあるの?
排水枡は、私有地内の庭の地面などに設置されています。
また、排水枡には三つの種類があり、それぞれ役割と、設置されている場所が異なります。
排水枡の種類とその場所
ここでは排水枡の種類別の役割と、設置場所についてまとめておきます。
汚水枡
汚水とは、一般家庭や一般設備から出る排水のことです。
汚水枡はインバート枡とも呼ばれ、汚水が集められる前に通される排水枡で、生活排水が出る箇所(トイレ、洗面所、浴室、台所等)の外側に配置されています。
雨水枡
雨水が汚水と合流する前に通される排水枡です。
また、雨水の処理の仕方には二種類あり、それぞれ合流式下水道と分流式下水道といいます。
合流式下水道は汚水と雨水を一つの下水道管で集める方式で、配管は一本で済みますが大雨の際は未処理の下水が公共用水路に放出されてしまうことがあります。
分流式下水道は汚水と雨水を別々の下水道管で流す方式で、配管が2本必要ですが大雨の際でも汚水は全て処理場に送られます。
公共枡
公共枡は、汚水や雨水が私有地から公共排水に合流する前に最後に不純物を取り除く排水枡です。
そのため、一番公道よりの位置に設置されています。
近年注目されている排水ヘッダー方式
これまで排水枡の種類や設置場所について説明してきましたが、近年では排水枡が一つで済む配管の方式「排水ヘッダー方式」が注目され始めています。
「排水ヘッダー方式」は、水回りの生活排水を配管一本を経由して排水ヘッダーに接続させ、集める方式です。
排水管内の点検を一度にまとめて行えるため、配管が別々のものと比較してとても効率的です。
この排水ヘッダー方式を採用していると、排水枡は公共枡一つで済むのです。
定期的にメンテナンスしよう
冒頭でも話した通り、長年掃除していないとゴミが溜まってつまりを引き起こす可能性があるので、定期的にメンテナンスする必要があります。
また、実際につまり等のトラブルが発生した場合は専門業者に相談しましょう。
無料お見積もりも行っているので、料金や必要な処理等の相談をお待ちしております。